AWSのバーチャルデスクトップとはクラウドサービスとして提供されるデスクトップ環境になります。ローカル環境にインストールしたソフトウェアを通してリモートサーバに接続し、そのソフトウェア内の画面でリモートのデスクトップ環境を表示・操作することができます。バーチャルマシンのリモート版、もしくはリモートデスクトップみたいなものです。リモートに独立した環境が構築されるので作成や破棄が容易にできて、フレッシュな環境を再構築できます。今回の記事では、AWSのWorkspacesサービスを使って、Windowsのリモートデスクトップ環境の構築手順とローカル環境の設定手順を学習していきます。
料金
Workspacesのサービスの料金体系は月額課金と時間制課金の2つに分かれています。毎日フルタイムの仕事で8時間使う場合は月額課金の方がコスパはよいかもしれません。逆にパートタイムの場合は時間制課金の方がよいかもしれません。使用時間に応じて月額課金か時間課金かを決めることになると思います。
課金額はリジョンによっても異なりますので注意が必要です。
以下公式ページからの抜粋です。一番安いバンドルの比較をしています。
https://aws.amazon.com/workspaces-family/workspaces/pricing
【Asia Pacific (Tokyoの場合)】
Value Root Volume User Volume Monthly Pricing Hourly Pricing
1 vCPU, 2 GB memory 80 GB 10 GB $34.00 $10.00/month + $0.30/hour
【US West (Oregon)の場合】
Value Root Volume User Volume Monthly Pricing Hourly Pricing
1 vCPU, 2 GB memory 80 GB 10 GB $25.00 $7.25/month + $0.22/hour
ローカルマシンとバーチャルデスクトップ間のファイル移動について
バーチャルデスクトップの注意点として、ローカル環境とバーチャルデスクトップ間の直接的なファイルの移動はできません。つまり、ローカル環境でバーチャルデスクトップに接続しているアプリのウィンドウにファイルをドラッグドロップしてファイルを移動することはできません。またその逆も然りです。元々のサービスのデザインでそうなっています。
なので、ファイルの移動はインターネットを経由する(クラウドサービスを経由する)方法でファイルを移動する必要があります。例えばDropbox、Google Drive、Amazon WorkDocsやS3ストレージなどを通してファイルを移動する必要があります。Gitを使った方法もよいかもしれません。
Workspacesの設定
ディレクトリの作成
Workspaceの作成にはディレクトリの作成が前提となります。先にディレクトリの作成をしましょう。
AWS管理画面の最上部の検索窓に「Directory Service」と入力してディレクトリサービスのページに移動して下さい。
「アクティブディレクトリの作成」ボタンを押下。以下の設定でディレクトリを作成します。
- ディレクトリタイプ
-
Simple AD
- ディレクトリのサイズ
-
スモール
- ディレクトリの DNS 名
-
ここでは「virtual-desktop.example.com」としておきます。
VPC内でのみ使用されるものなのでぱぶりっくになまえかいけすされるどめいんである必要はありません。 - ディレクトリの NetBIOS 名 – オプション
-
ここでは「desktop-test」としておきます。
- 管理者パスワード
-
任意のパスワードを設定します。
ディレクトリの作成後、ステータスが「作成中」から「アクティブ」になるまで5~10分程度かかります。
作成されたディレクトリのサブネットをメモしておきましょう。次項で使用します。
ディレクトリの NetBIOS 名に日本語を入力すると作成に失敗るするようなので、アルファベットのみにしておきましょう。
ディレクトリ作成時にエラーが発生する場合は、サブネットを変更して登録してみてください。
作成したディレクトリの登録
AWS管理画面の最上部の検索窓に「Workspaces」と入力してWorkspacesのサービスページに移動して下さい。
「ディレクトリ」メニューを選択して、「ディレクトリの作成」ボタンを押下します。
以下の設定でディレクトリの作成をしてください。
- WorkSpace タイプ
-
「個人」を選択。
- WorkSpace デバイス管理
-
「AWS Directory Service」を選択。
- AWS Directory Service の未登録ディレクトリ
-
上記で作成したディレクトリを選択します。
- 登録
-
上記で作成したディレクトリで設定されたサブネットを選択します。
- 設定
-
ユーザ自身にワークスペースの再構築や変更を許可する場合は「セルフサービス許可を有効化」をオンにします。
ここでは「オン」にしておきます。
作成したら、ステータスが「作成中」から「登録済み」に変わるのを確認しましょう。
Workspaceの作成
Workspacesのサービスページ内で、「Workspaces」>「個人」メニューを選択。
「Workspaces」の作成ボタンを押下。以下の設定でWorkspaceを作成します。
- オンボーディングのオプション
-
「自分のユースケースに必要なワークスペースオプションを把握している。」を選択。
- WorkSpace タイプ
-
個人
- バンドル
-
「パブリック WorkSpaces バンドルを使用」を選択。
ドロップダウンリストからは「値」のセクションにある「Value with Windows 10 (Server 2019 based)」を選択します。 - 実行モード
-
ここでは時間単位課金の「自動停止」を選択。
- WorkSpace を自動停止するまでの時間
-
デフォルトの「1時間」のままで良いでしょう。
- ディレクトリ
-
上記で作成したディレクトリを選択します。
- ユーザの作成
-
同ページ内にあるユーザの作成ボタンから別途ユーザを作成しましょう。
ユーザの作成後はユーザリストの更新ボタンを押下すると作成したユーザが表示されます。
作成後はステータスが「保留中」から「使用可能」になるのを確認しましょう。
「使用可能」ステータスになるとユーザに設定したメールアドレスに招待メールが届きます
ローカル環境の設定
届いた招待メールの文面内にあるリンクをクリックして指示に従っていきます。
最初にパスワードを設定します。
Workspacesクライアントアプリのインストール
パスワード設定後はWorkspaceのクライアントアプリのダウンロード画面にリダイレクトされます。
ここではWindowsの64ビットのクライアントを選択してダウンロードします。以下の名前の様なファイルがダウンロードされます。
Amazon+WorkSpaces.msi
ダウンロードが完了したらインストールしましょう。
アプリのログインとアプリの登録
アプリを起動すると登録コードが求められます。登録コードは上述の招待メール内に記載があります。
ユーザ名とパスワードを入力してログインが成功するとWindows 10のデスクトップが表示されます。
登録コードは招待メールに含まれています。
まとめ
今回の記事では、AWSのバーチャルデスクトップ(Windows10)をセットアップする手順を学習しました。ローカルマシンとバーチャルデスクトップ間のファイルの移動はできないことが注意点でしたね。ファイルの移動にはクラウドサービスを使います。Workspaceを作成するにはまずディレクトリの作成が必要でした。作成したディレクトリを登録してWorkspaceを作成しました。AWS側の設定が終わったらWorkspaceのクライアントアプリをダウンロードしました。アプリの初回ログイン時は登録コードが必要でした。登録コードは招待メールに含まれていましたね。月額課金と時間単位課金がありますので、自分の使い方に最適な方を選んで使用してみましょう。